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センター紹介
光と共に科学道を歩む。
──光のもっている潜在的な可能性を最大限に引き出したい
センター長:田中 耕一郎(Koichiro Tanaka)
旧約聖書の「God said, “Let there be light,” and there was light.」という一節とビッグバン宇宙の最初期において物質と不可分の状態にあったと考えられる「光」の存在の話は、私の頭と心の中でぐるぐると回って、自然の根源には必ず光のまだ知られぬ本質が関わっているという直感に行き着いています。これは全く科学的でない言い分ですが、万人が感じる「光」の魅力はそのようなところに発しているような気がしています。
サイエンスの発展において、光は我々が最も親しく用いてきた観察、探究の手段です。望遠鏡を用いた遠い宇宙の観測や顕微鏡による細菌の探求は、天文学や医学の発展に寄与してきました。1905年アインシュタインが提唱した光量子仮説に端を発して、光は「光子」という量子であるという理解が進み、現在の量子物理学の発展につながって、現代社会の基盤を作り上げました。1960年ごろにレーザーが発明されてからは、超精密に周波数や時間を計測する技術が進み、時間の定義が光の技術で行われるようになりました。また、フェムト秒(10-15秒)やアト秒(10-18秒)という非常に短い間隔のパルスを発振できるレーザーの開発は、原子や分子内の電子のダイナミックな動きを精密に予測できる物理の発展に大きく寄与しました。今後も、光のもっている様々な潜在的可能性を最大限に引き出す光科学研究は、サイエンス全体の発展に欠かせない研究領域であることは間違いありません。
光量子工学研究センター(RAP)では、光の持つ観測、分析、情報能力を飛躍的に発展させるような光科学(Photonics)を開拓することで、様々な科学分野の新局面を切り開くような研究を推進していきます。それを象徴的に表す標語として、“Edge Photonics”を掲げることにしました。“edge”には、尖った(尖端的な)光科学、端(境界領域)での光科学、そしてネットワーク・エッジにおける光科学という3つの意味が込められています。尖端的なPhotonicsでは、超高精度な光格子時計の開拓やアト秒レーザーを用いた物質科学研究を展開します。テラヘルツ領域の量子エレクトロニクスの展開も今後期待される研究です。境界領域でのPhotonicsでは、生命科学や宇宙の基本問題の解決に必要な新しい観測、分析手段を提供します。更に、サイバー社会とリアル社会をつなぐネットワーク・エッジに必要な、人工知能を駆使したPhotonicsの研究も進めます。
センターミッション光量子工学研究センターは光科学の地平を拡大し、新しい科学・技術の創造を目指します。
組織光量子工学研究センターは4つの領域から構成されています。
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