新しい光は、新しい科学・技術を創造する
1960年、「20世紀最大の発見」とも呼ばれるレーザーが誕生し、光科学の新しい時代が始まりました。新しい光は、新しい科学・技術を創造します。
可視光レーザーの波長は0.5μmほど、エネルギーは2.5eV(電子ボルト)くらいです。レーザーは、光波の位相が揃った波長の光で指向性や集光性に優れていることから、微細加工や通信などさまざまな分野に応用されています。そしてレーザーは現在、いろいろな方向に発展しています。例えば、レーザーを使って電子を109eV以上にまで加熱・加速することが可能になるばかりでなく、電子の動きを観察できるアト秒パルスレーザーも開発されています。レーザーを使って原子を10-9eVまで冷却することも可能になっています。これほどの低温では原子も動きを止めるため、超精密な計測や原子の操作が実現します。
波長の拡大も進んでいます。アト秒パルスレーザーは軟X線なので、可視光より波長が短い方への拡大です。逆の方向、つまり可視光より波長が長い方へ拡大することにより、電波との境界領域にあたるテラヘルツ光による透視イメージングも可能になります。
また、可視光によって識別できる大きさには限界がありましたが、波長を変えずにより細かい空間を見ることも可能になってきました。
エネルギー、時間、波長、空間……。光科学は、これまでさまざまな領域を拡大してきましたが、いずれもまだ極限に達していません。さらにそれぞれの地平を拡大し、新しい科学・技術を創造すること。それが、光量子工学研究センターの使命です。